あなたの願いは聞き入れられた

ルカ福音書1章5~25

 

「ユダヤの王ヘロデの時代」(1:5)

は、ローマに屈服していたものの、かつてないほど栄えました。
エルサレム神殿を大改修したのも、ヘロデです。
ヘロデには、10人の妻と15人の子どもがいたとされます。
ヘロデは、猜疑心から三人の息子を処刑しました。
妻の一人を処刑し、その母と伯父を処刑しました。
繁栄を謳歌する一方で、腐った暗い世の中だったのです。
バプテスマのヨハネが誕生したのは、そんな時代です。

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「彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」(1:17)

生まれて来るあなたの息子は、エリヤの再来としてメシア到来の準備をする、
と天使はザカリアに告げたのです。

「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。」(1:13)

「あなたの願い」とは、何でしょうか。
一つは、子どもを与えてくださいという願いです。
これは、不妊の女という恥を取り去ってほしいというエリサベトの願いと重なります。
子どもが与えられないことは、当時の女性にとって屈辱的な負い目でした。
あの女は大きな罪を犯したに違いない、と後ろ指を指され、その辛さを味わってきたのです。

もう一つは、イスラエルを救ってくださいという願いです。
ザカリアは、聖所で香を焚きながら、
「主よ、この民を顧み、あがなってください。」
と祈ったのです。

天使のお告げを、ザカリアは信じることができません。

「何によって、わたしはそれを知ることができるのでしょうか。」(1:18)

これは、
「あなたの言葉は信じられない」という意味です。

「わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」(1:18)

これは、アブラハムとサラに重なります。

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主の天使が答えます。

「あなたは口が利けなくなり、この事の起こる日まで話すことができなくなる。時が来れば実現するわたしの言葉を信じなかったからである。」(1:20)

ザカリアの口が利けなくなるのは、一つの「しるし」なのです。
この不思議な出来事を通して、この子どもの誕生が神の業であることが明らかになる、というのです。

ルカ福音書は、バプテスマのヨハネの誕生と主イエスの誕生を交互に描きつつ、
人間の知恵をはるかに超えたところで神の言葉は必ず実現する、
そこに神の深い愛が示されている、と語るのです。
(2020年11月22日)

 
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