十二人を使徒と名付ける

ルカ福音書6章12~17

「イエスは祈るために山に行き、神に祈って夜を明かされた。」(6:12)

ここで「山に登る」という言葉は、神と出会うことを意味しています。
予想されたこととはいえ、激しく自分を憎む人が出て来た。
このまま対立をエスカレートさせていいものか、
神の御心を問い、祈っているうちに夜が明けたのです。

「朝になると弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた。」(6:13)

「使徒」アポストロスは、「使者」を意味する言葉です。
福音を伝え、十字架と復活を証しする使者として、十二人を選ばれたのです。

「十二」(6:13)

という数字は、イスラエルの十二部族と関係があります。
これには、新しい神の民を作り出すという意味が込められています。

この時、この十二人はそれだけの能力を持ち合わせていたわけではありません。
見当違いのことばかりやる人たちでした。

主イエスが十字架で処刑されたときには、みんな逃げ出してしまいました。
イスカリオテのユダにいたっては、主イエスを引き渡したのです。

「山から下りて、平らな所にお立ちになった。」(6:17)

上から教え諭すのではなく、苦しみ迷う人々のあいだに入って、
慰めに満ちた言葉をお語りになった。

「おびただしい民衆が・・・イエスの教えを聞くため、また病気をいやしていただくために来ていた。」(6:17~18)

教えを聞くために、病気を癒していたくために、
またあらゆる悩みを解決していただこうとして、
大勢の人が集まってきたのです。

主イエスは、憎しみを募らせている人たちのあいだに入っていかれました。
どんな人も滅びてはならないという決意を持って、山を下りて来られたのです。

そして、十二人を選んで使徒とされた。
ご自分が命を落とした後も、福音を伝え、神の愛を証言していく使徒をお立てになさった。
そこから教会が始まった、とルカ福音書は語るのです。
(2021年4月25日)

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