マタイ福音書16章1~12
ヨナは、「ニネベに行って、悔い改めを呼びかけよ」という主の言葉を聞きます。
ニネベは、憎い敵アッシリアの都です。
そんなことは死んでも嫌だと思ったヨナは、船に乗り込みます。
すると嵐になって、船が沈みそうになった。
誰のせいか、くじを引くとヨナにあたった。
ヨナを海に投げ込むと、嵐はおさまった。
ヨナは巨大な魚に呑み込まれ、三日三晩魚の腹の中で過ごします。
魚から吐き出されたヨナはニネベに向かい、悔い改めを呼びかけます。
すると王をはじめすべての住民が悔い改め、悪の道を離れた。
これを見て神は思い直された。
ヨナは怒ります。
「わたしには、こうなることが分かっていました。あなたは、恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに富み、災いをくだそうとしても思い直される方です。」(ヨナ書4:2)
神は、トウゴマの木を生え出でさせて日陰を作ったので、ヨナは大いに喜んだ。
ところが、神が虫に命じてそのトウゴマの木を食い荒らさせたので、一日で枯れてしまった。
暑さでぐったりしたヨナは、死んだ方がましだと腹を立てる。
それを見て神は、言われます。
「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。
それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。」(ヨナ書4:10~11)
わたしがこの人たちの命を惜しむ気持ちが、あなたには分からないのか、と言われるのです。
神は、人の悪事を見て滅ぼそうと決心しても、思い直される。
これが、「ヨナのしるし」(16:4)です。
「ファリサイ派とサドカイ派の人々のパン種によく注意しなさい」(16:6)
政治や経済を動かし、力ある者として生きていきたいという誘惑、これがサドカイ派のパン種です。
一方、ひとり救いに与ろうとする思い、これがファリサイ派のパン種です。
目の前の幸せを願い、豊かな暮らしを失いたくないという思いからは、神の御心を受け止めることができないのです。
立ち上がろうとする思いを腐らせてしまう誘惑に、気をつけなさい。
わたしの命のパン、わたしの命の水で歩みなさい。
こう招いてくださっているのです。
(2019年6月30日)